松田 岳人 院長(くりの木動物病院)のインタビュー

くりの木動物病院 松田 岳人 院長

くりの木動物病院 松田 岳人 院長 TAKETO MATSUDA

2003年に日本大学生物資源科学部獣医学科卒業後、相模が丘動物病院(現:犬猫の呼吸器科)にて7年間従事。2010年に横浜栗木で『くりのき動物病院』を開業し今に至る。(京急本線「杉田」より徒歩16分/JR根岸線「洋光台」より徒歩18分)

幼い時からの動物愛が現在の獣医師としての基盤

 幼少期から動物が好きで家で飼育していました。中学生くらいの頃に職業体験で動物病院には獣医師という仕事があることを知り、興味を抱きました。当時私は犬を飼っていたのですが、その犬が突然具合が悪くなり地元の動物病院へかかることになりました。椎間板ヘルニアと診断され、その病院では詳しい検査が出来ないとのことで大学病院に行くことになりました。大学病院に行き飼っていた犬は回復し、獣医師は動物を治療できて素晴らしい職業だと考え、獣医師を目指すようになりました。大学卒業後は呼吸器で名高い相模が丘動物病院(現:犬猫の呼吸器科)にて7年間従事し様々な症例と向き合い、2010年にこの栗木の地で『くりの木動物病院』を開業することとなりました。栗木は駅からは離れていますが、お祭りがあったりと地域のつながりが強い土地です。そういう地域に貢献できればと考えてこの地で開業することにしました。動物病院の名前ももちろん栗木からいただいております。

動物と飼い主さんにあたりまえの配慮を忘れないように

 まず動物病院の役割は治すということです。その上で不安な状態にいる動物と飼い主さんを安心させてあげることを念頭に診療するようにしています。あたりまえかもしれませんが触診する際には怖がらないように優しく触ることを心がけています。飼い主さんは動物の状態を見て不安に感じて来院しているので不安を取り除けるようなるべくにこやかに現在の状況と将来の話を丁寧に説明します。特に初診では飼い主さんの不安が大きくありますので時間をとって十分にインフォームします。そのため当動物病院は予約制を採用しています。どうしても時間がかかるため待っていただいている他の飼い主さんにはご迷惑をかけてしまうこともあるのですが、動物を見ているのは家族です。辛い動物を見て辛い思いをしている飼い主さんの不安を取り除けるように考えて行動しています。

様々な状態を診療できるように

 一般的な診療も行いますが、元々勤めていた相模が丘動物病院(現:犬猫の呼吸器科)は呼吸器の専門性が高い病院でしたので当医院も呼吸器に関しては高い専門性を保持しており、今でも勉強会や研究会には継続的に参加して日々研鑽を重ねております。HPなどで見てそれ目当てで来院する方もいらっしゃります。犬で特徴的なのは短頭種と言われる頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが短いブルドッグやパグを指す犬種です。短頭種は飼い主さんがわかっていればいいのですが、どうしても呼吸が苦しくなりやすい犬種です。そのため夏場は熱中症になりやすい傾向にあります。ですから当医院では飼い主さんに治療や手術も行いますが、生活する上でどのようなことに気をつければいいか指導します。短頭種の診療には力を入れています。当動物病院では基本的には小型の哺乳類は全て受け入れるようにしています。ハムスターからモルモット、うさぎやチンチラ。ハリネズミやフェレットと多種来院されます。

再生医療と歯科治療に力を入れて

 治療の選択肢として再生医療を用いれるのも当動物病院の特徴です。再生医療は大きく分けると幹細胞療法と免疫療法に分別されます。幹細胞療法は色々な診療に使用できる療法で特に効果が高いのは椎間板ヘルニアに効果があると言われています。麻痺が起きた際に細胞を使って治療すると6〜7割程度の改善報告が挙がっています。免疫療法は主にがんの動物に使用する療法です。本人の体から免疫細胞を取り出して培養し体に戻してあげることで免疫力を高める効果があります。これはがんそのものを抑えるという意味合いでなく、今後のQOLを上げることが目的です。再生医療に関しては選択肢の一つとして用意しています。あくまで一般的な診療をしてその上で不安や緩和が見られなかった場合、患者さんに対して説明するようにしています。他には歯科診療にも力を入れています。動物の変化の中で飼い主さんが特に気になられるのが目につきやすい歯の汚れや臭いに関してです。歯の病気自体は3歳を超えると60〜80%の動物が歯周病になると言われています。ですので3歳くらいになると治療が必要になります。主に行う処置は麻酔を使用した歯石の処置です。麻酔を使用することに危険性があるわけではないのですが、不安に思われる飼い主さんもいらっしゃります。適切なタイミングで必要になる処置ではありますが、予防するために歯磨きを飼い主さんが行えるように指導しています。今後も基本的なスタンスは変えずに地域の助けになるよに働きかけます。

地域の皆様へ

 診療する際に元気のない姿だけでなく日頃のお散歩の時に寄るなどしてもらえると動物たちも慣れて懐いてくれますので是非お立ち寄りください。動物の中には診察台が怖くて元気がなくなってしまう子もいます。飼い主さんの話だけでなく普段の様子を見せてください。また地域には地域猫の問題で困られている方も少なくありません。磯子区には地域猫協議会というものがありそういうネットワークも使用をお勧めします。動物を通じて地域のコミュニティの発展に寄与できればと考えています。

 

※上記記事は2024年5月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

くりの木動物病院 松田 岳人 院長

くりの木動物病院松田 岳人 院長 TAKETO MATSUDA

くりの木動物病院 松田 岳人 院長 TAKETO MATSUDA

  • 出身地: 神奈川県
  • 趣味: 爬虫類の飼育
  • 好きな映画: 『AKIRA』『攻殻機動隊』
  • 好きな場所: 鎌倉
  • 好きな音楽: Hi-STANDARD 、brahman
  • 好きな言葉: 「ベストを尽くして失敗したら、ベストを尽くしたってことさ」
  • 好きな作家: 司馬遼太郎

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