佐藤 苔翠 代表(書道教室 横浜墨州院)のインタビュー

書道教室 横浜墨州院 佐藤 苔翠 代表

書道教室 横浜墨州院 佐藤 苔翠 代表 TAISUI SATO

1946年創立の『書道研究墨州院』。約20年前に横浜教室を開校し、2023年に現在地へと移転(JR根岸線「洋光台駅」より徒歩8分)

書道家の家に生まれ、構えることなく自然と書に親しんでいた日々

 両親が書道家だったものですから、幼い頃より書に馴染んでおりました。ただ、兄がいたこともあり、私自身は「この道に進みなさい」と言われたことはなかったんですね。それで付かず離れず、という感じで書と向き合っていたのです。その後結婚して子供が生まれ、その子が学校でお習字を始めるようになると、周りのお母さん方から「うまいね」と褒めていただいたことがありました。それでママ友達のお子さんに教え始めたというのが、ここ横浜教室の始まりということになります。当時は自宅で教えていたのですけども、洋光台から引っ越すことになり、生徒さんのフォローをどうしようかと考えていた矢先、この場所が見つかり、再スタートを切ったのが2023年のことでした。

うまくなりたい、落ち着いた時間を大事にしたい。想いは人それぞれ

 始めた当初はお子さんだけだったのですが、最近はお子さん自体減ってきていますよね。すぐ近くの小学校も3クラスあったのが、去年辺りから1クラスになったということですし。相対的に大人の方が増えてきたという印象です。お子さんについては、3年生になると授業が始まりますので、そのタイミングで始める、という方が多いですね。大人の方の場合、やはり子育てが一段落した世代が多い印象です。「字をうまく」という気持ちはもちろんみなさんが持ってらっしゃると思いますが、それ以上に、墨の香りに包まれた中で書に集中する、他にはない落ち着いた時間を愉しまれているように思います。余談ですが、もともと墨には香りがないそうなんです。誤飲を防ぐためにあの香りがつけてあると聞いています。

筆文字アートも!

 月ごとに課題があり、お手本を元に練習をして提出をしていきます。毛筆と硬筆(ペン字)、それぞれに段級があり、9級から始まり、準8級、8級といったように1つずつ昇級を目指していくことになります。毛筆に関しては年に2回昇格試験があり、飛び級も可能です。

 普段の課題を離れ、自由に文字や絵を描いていく筆文字アートも人気です。書道の道具にも様々なものがあります。墨1つとっても、青みがかった黒もあれば、ラメの入った墨などもあります。こうしたものを用い、自由に創作することを筆文字アートと位置づけて書道がアートになることを学び、より一層書道が愉しくなるようなお稽古にしています。書道は「ジャパニーズカリグラフィー(Japanese Calligraphy)」と呼ばれ、昨今は世界的な注目を集めています。

個性を尊重し、書道を好きになってもらえるように

 技術的にどう書けばいいのかといった指導はもちろんおこないますけども、画一的なアドバイスはいたしておりません。と言いますのも、子ども達には1人ひとり、個性があるんですね。例えば、書いているところを見られるのが苦手な子もいますし、その子その子の個性に合わせて指導をしていく形です。

 1つ心がけているのは、書道を好きになってもらうこと。上手くなっていくことも大切ですが、ずっと書道が好きでいてくれるよう導いていくのが私の使命と思っています。2024年に「書道」のユネスコ無形文化遺産への提案が決定されました。近い将来、それが実現した時、書道の価値が再び見直されてくると思いますし、子ども達も今習っていることの意義を再認識してくれることを期待しています。

地域のみなさんへメッセージ

 体験教室も実施していますが、大人の方の場合、頂戴します費用は、その都度ごととなっています。もちろん1回きりでも大丈夫ですし、年賀状など、何か書き物があった時だけいらしていただいてもいいのです。誰にも「書きたい」と思う瞬間があるのではないでしょうか。その一瞬、その日だけでも結構ですので、書に触れてみていただければ幸いに思います。

 

※上記記事は2024年7月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

書道教室 横浜墨州院 佐藤 苔翠 代表

書道教室 横浜墨州院佐藤 苔翠 代表 TAISUI SATO

書道教室 横浜墨州院 佐藤 苔翠 代表 TAISUI SATO

  • 出身地: 岩手県
  • 趣味: ドイツ製ハンカチ収集/手芸
  • 好きな音楽: J=POP
  • 好きな作家: 絲山秋子、角田光代
  • 好きな言葉: 「抱月」(心に邪念のないこと)
  • 好きな映画: ゴジラ・シリーズ「洋光台がロケ地になったという縁で」
  • 好きな場所: 寺谷弁天池(鶴見)

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