鈴木 憲一 代表(有限会社 八瀬川商店)のインタビュー

有限会社 八瀬川商店 鈴木 憲一 代表

有限会社 八瀬川商店 鈴木 憲一 代表 KENICHI SUZUKI

高校卒業後料理の専門学校に進学。卒業後は、1973年よりフレンチ料理人として横浜や東京にて従事。1985年に家業である『有限会社 八瀬川商店』を継承し現在に至る。

料理人からお米屋の道へ

 幼い頃より将来的には実家のお米屋を継ぐことになるのだろうと考えていました。そんな私は高校時代、家業のお米やではなく料理に興味を持っていました。いずれ家業を継ぐのであれば今は好きなことを仕事にしたいと考え経験を積みました。そんな中、昭和60年に父親が体調を崩したことをきっかけに、私は現在の『有限会社 八瀬川商店』を継ぐことになりました。当店は祖父が昭和32年に創業し、私は3代目としてこのお店を引き継いでいます。お店には何十年とご贔屓にしてくださるお客様が多くいらっしゃるのでとても感謝しています。

お客様に喜んでもらいたい

 当店では、お客様が美味しくお米を召し上がっていただけること、喜んでいただけることを重視しています。当店のお米は、玄米で仕入れてその日に精米し、お客様のもとへお届けしています。どんなに遅くとも精米してから2日以内にお届けし、お店の玄米は入れ替わります。精米の過程では、玄米を精米機に入れて石を取り除き、その後「色彩選別機」という機械で虫食いしてしまった米や黒い米を空気で弾き出し、選別しています。このように丁寧に作業することで、お米を新鮮で安全な状態でお客様へお届けしています。

 みなさん、お米は野菜などと同じく生鮮食品であることをご存知でしょうか?保存食のイメージが強いかもしれませんが、お米も酸化し味が劣化していきます。冬場は適切な場所で保存すれば2ヶ月ほど持つケースもありますが、気温が上昇する夏場では、できるだけ2週間以内に食べ切っていただきたいと考えています。食べきれない場合は、冷蔵庫の野菜室に入れて保存してください。そうしないとお米に虫が湧いたり、味が低下してしまいます。また私はお客様を裏切らないため、自分自身でお米を食べ、自信を持ってお薦めできるようにしています。お米は産地や種類で味が異なります。粘り気のある米や柔らかいお米、洋食に合うあっさりとしたお米やお寿司に合う硬めのお米など、特徴に沿ってお客様にお薦めするようにしています。

学校教育にも携わってきた

 私自身、お米マイスターの資格を取得しています。この資格はお米の専門家として、種類や炊き方、特徴や産地を理解していることを証明しています。さらに、この資格を持っているからこそ、学校教育や地域活動にも携わってきました。40代の頃から約20年間、近隣の小学校や中学校で授業をしてきました。近年はコロナの影響もあり、頻度は低くなっていますが、授業では実際にお米のつき方や種類、特徴の説明をし、精米の方法をレクチャーしています。ペットボトルで籾摺り体験も行います。場合によってはお米を炊いて持参し、子供たちに食べてもらうこともあります。私自身が学校でPTA会長を務めた経験もあり、学校とは長い付き合いがあります。授業で使用する資料などの制作は簡単ではありません。また学校にお米や玄米、稲と持参するものが多く、大変ではありますが、子供たちの学ぶ姿に寄与できることは喜ばしいことです。また、子供たちから御礼の手紙をいただくこともあり、それは何よりの宝物です。

 現在の小学生は5年生になると、学校ごとにバケツ稲を育てたり、小さな田んぼを作り稲を育てたりしています。それを自分たちで収穫し、精米して家庭科の授業で食べます。どんなに多く収穫できたとしても5キロほどのお米しかとれません。自分たちで種を蒔いて水をやって収穫をし、籾摺りを行いやっと出来たお米の量に子供達はいつも驚いています。自分たちが日頃食べている食事を生産することの苦労とありがたみをそこから学びます。子供たちには「一生で一度しか学ばないことだからしっかり聞いてね」と伝えています。

お米の消費量は30年前の半分

 日本のお米の消費量は低下の一途を辿っています。30年前と比較すると約半分ほどです。長く商売を行なっているとお客様が高齢になってきます。昔は家族で10キロや20キロと購入されていたご家庭も子供が成人して家を離れると夫婦で1ヶ月に5キロで事足りるようになります。こうなってくると美味しいお米を生産していた農家の方にも影響がでます。お米自体の値段は30年前と比較してもほとんど変化していません。良質な肥料や広大な面積を耕す耕運機の維持費は安くありません。先祖から大事にしてきた家業のため辞めたくないが廃業せざるをえない農家さんが多いです。当店は産地から直接仕入れているのでこの状況は悲しく感じています。

皆様へのメッセージ

 昔と比べて流通の経路が変わりお米屋に対しての需要に変化を感じます。今の時代は通販やふるさと納税での購入といった新たな流通経路が生まれています。お店とお客様とが交流を持つことが少なくなっています。そんな状況だからこそ、お米に対して分からないことや知りたくてもどこに聞けばいいのか分からない方もいらっしゃると考えます。そんな際はいつでもお気軽にご相談ください。皆様のお米へのお悩み相談お待ちしております。

 

※上記記事は2024年3月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください

有限会社 八瀬川商店 鈴木 憲一 代表

有限会社 八瀬川商店鈴木 憲一 代表 KENICHI SUZUKI

有限会社 八瀬川商店 鈴木 憲一 代表 KENICHI SUZUKI

  • 出身地: 横浜市磯子区
  • 趣味: 旅行
  • 好きな映画: アクション映画
  • 好きな場所: 温泉地
  • 好きな音楽: 歌謡曲
  • 好きな言葉: 一期一会

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