石田 由美子 店長(お茶とのりのいしだ園)のインタビュー

お茶とのりのいしだ園 石田 由美子 店長

お茶とのりのいしだ園 石田 由美子 店長 YUMIKO ISHIDA

浅草の草履メーカーで見習いとして従事し、その後父親の営んでいたミニスーパーで勤務。2012年より『お茶とのりのいしだ園』にて、着物姿に日本髪がトレードマークの3代目若女将として今に至る。

稼業を継ぐ想い

 幼少期から、祖父が経営する米屋を継ぐことを夢見ていました。家業を継ぐという想いは3歳ごろには芽生えており、将来の夢と問われる度に、「このお店を継ぐ」と堂々と宣言していました。妹もいるのですが、性格は対照的で、私はしっかりと、妹はおっとりとした性格であり、この仕事に向いていると確信していました。その想いは日々の行動にも表れていました。幼い頃から、家業に熱意を持ち、親からの信頼もあり積極的に手伝いをしていました。小学生の頃には暗算でお釣りを渡せるようにそろばん教室に通い、お手伝いとしての報酬を几帳面に記録するほど、その頃から私の手際や能力は目を見張るものがあり、小学生ながらアルバイトとして働く大学生に仕事を教えるほどに成長していました。今でもその当時のアルバイトとは親交があり、「由美子ちゃんは当時から大人みたいだった」と振り返り、懐かしんでくれるほどです。家業を継ぐことへの熱意と準備は、幼少期から着実に成長してきました。その想いと覚悟は、今も私の行動やお客様との交流に根付いています。

お客様のバックグラウンドを想像して提供する

 お客様の笑顔と満足度を大切にする姿勢を店舗で貫いています。誰もが「また来たい」「うれしい」と感じる場所を目指し、お子さまから年配の方まで、全てのお客様に心地よさを提供したいと願っています。そのために、お客様のバックグラウンドや立場を理解し、その人に最適な提案することに力を注いでいます。店舗で試飲されるお茶はプロが丹精込めて淹れたもので、美味しく召し上がっていただけます。しかし、ご自宅で同じように美味しく淹れるのは道具や知識が不足していると難しいことがあります。そこで、お客様が普段使用する道具や飲むシーンをヒアリングし、適切な淹れ方を提案することで、お茶の魅力を最大限に引き出したいと考えています。道具は特別なものでなくても、正しい知識があれば、お茶を存分に楽しめます。また、お客様一人一人のニーズに合わせて配慮するため、店内には大小さまざまな試飲用の茶碗を用意しています。帰りたい方やゆっくり話したい方、様々なお客様に対応できるよう、細やかな準備と気配りを心がけています。お客様がくつろげる空間を提供し、その人のニーズに合わせたサービスを提供することで、より良い体験をお届けできるよう努めています。

茶の十徳と健康

 お茶の歴史は古く発祥は中国の地から来ています。紀元前2700年ごろに神農(しんのう)が薬として発見したと言われています。日本への伝来は飛鳥時代に遣隋使が三つの種を中国から持ち帰ったことからはじまりました。元々薬として発見されたお茶は飲むと十の徳が得られると言われています。これら「茶の十徳」は「肉体的」、「精神的」、「社会的」に効果があります。これはWHO (世界保健機関)が定義している健康な状態に必要不可欠なものです。私はみなさんの健康寿命を伸ばしたいと本気で考えています。美味しいお茶を飲み、好きなお友達や家族と会話する。それだけで元気になれます。お茶を飲む事により心身共に健康になり世界は平和になると私は信じています。またお茶を購入される方からよく聞かれるのが保存方法です。お茶は乾物ではないため、酸化していく性質を持っています。お茶を美味しく楽しむためには、酸化を防ぐことが重要です。開封後は3週間以内に飲みきることを心がけると良いでしょう。

自己肯定感向上にもつながる

 『お茶とのりのいしだ園』では地域の子どもたちにも積極的なアプローチを行っています。小学生には職業体験の機会を提供し、店内に招いてお茶に触れる機会を与えています。中学生向けには職業人講話として、私自身が各クラスを訪れ、お茶に関する話を通じて知識を共有しています。さらに、高校生にも家庭科の時間を活用し、お茶の知識を伝えています。地域社会に密着し、皆が幸せになれるような活動を心がけています。子供たちにお茶の淹れ方を教える際、驚くほど上手になるのです。熱湯を使わず正しい知識を伝えることで、親御さんも子供たちを褒める機会が生まれます。小さなことのように思われるかもしれませんが、この成功体験は子供たちの自己肯定感を高め、成長の一助となるのです。お茶を通じて、子供たちが自信を持ち、未来に向けて前進できる手助けを提供しています。

日々是勉強

 私たちのお茶の販売店は、単なる商品としてのお茶を提供するだけでなく、お茶農家の想いを共有し、背負っています。お茶は他の生産物と異なり、生産者の意図通りに飲まれるものではありません。お客様がお茶を楽しむために、淹れ方や使用する道具など、様々な状況でお茶を飲まれます。その中で、正しい知識を伝えることでお客様に楽しんでいただきたいという想いで行動しています。お茶農家の立場からすると、お茶は大切な存在です。お茶を美味しく楽しんでいただきたいという願いがあります。個々の人の好みは異なりますが、お茶はお酒などと同様に個人の嗜好品です。お茶の世界に興味を持っていただけるきっかけになれば幸いです。そのためにも私は日々勉強を繰り返ししています。いつも『お茶とのりのいしだ園』でお客様をお待ちしています。

 

※上記記事は2023年12月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

お茶とのりのいしだ園 石田 由美子 店長

お茶とのりのいしだ園石田 由美子 店長 YUMIKO ISHIDA

お茶とのりのいしだ園 石田 由美子 店長 YUMIKO ISHIDA

  • 出身地: 横浜市西区
  • 趣味・特技: 料理、読書、盆踊り
  • 好きな場所: 夜景
  • 好きな音楽: 全般
  • 好きな本: 自己啓発本、料理本、ビジネス書籍
  • 好きな言葉: 死ぬこと以外は、かすり傷

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