宮内 重明 オーナー(パレ・ド・バルブ)のインタビュー

パレ・ド・バルブ 宮内 重明 オーナー

パレ・ド・バルブ 宮内 重明 オーナー SHIGEAKI MIYAUCHI

1975年、東京で修行を始める。その後、横浜のフランス料理店でフランス料理の修養に努め、1993年に最初のお店『ラ・スリーズ』をオープン。1998年、『パレ・ド・バルブ』を新杉田にオープン(JR根岸線/金沢シーサイドライン「新杉田駅」より徒歩3分、京浜急行「杉田駅」より徒歩5分)。現在にいたる。

「バルブ」が生まれたのは、ちょっとした偶然から

 中学校を卒業し、高校に入学するまでの春休みに初めてアルバイトを経験しました。カセットデッキがどうしても欲しくて、友人が知っている飲食店にアルバイトとして勤めさせていただいたのです。一言で言いますと、惚れてしまったと言いましょうか。そちらのコックさんが大きなフライパンを振っている姿がとてもカッコよかったのです。困ったことに、高校に入ってからもその姿が頭から離れないでいました。結果、1ヶ月で高校を辞め、料理人の道に身を投じることになったのです。親には大反対されましたが、そういうことが許された最後の時代だったのかもしれません。

 しばらくは一般的な洋食屋さんで修行を積んでいましたが、あの三國清三さんの料理を食べたことでまた世界が変わりました。脳天を突き破る美味しさと言うのでしょうか。「こんなに美味しいものが作れるんだ」と感激し、そこから横浜のフランス料理店で修行を始め、フランス料理に携わるようになったのです。初めて自分のお店を持ったのは35歳の時。根岸の『ラ・スリーズ』というお店です。そして1998年に前のオーナーから譲り受ける形で『パレ・ド・バルブ』をオープンいたしました。当時はテレビのビストロスマップの影響で、「ビストロ」という名称が大流行りでした。私もそれにあやかり、当初はビストロ・ダルブルと名付けようと考えていたのです。ところが、東京にその名前を冠したお店があることを知りました。気付いたのは、お店がもうオープンしようという時でしたから、これは困りましたね。当時、自分に構う余裕がなく、無精ひげの状態でしたが、「そのおひげが良いんじゃない?」と知人に言われ、出てきたのがフランス語で「ひげ」を意味する「バルブ」でした。以来、ひげが私のトレードマークになったのです(笑)。

気軽に楽しめる西洋料理のお店

 ランチについては、ほとんどがここ磯子区の周辺にお住いのお客様かと思います。みなさん、5、6人で連れ立っていらっしゃることが多いですね。ディナーについては、ご年配のご夫婦が中心です。このお店の歴史と共に齢を重ねた方々、と思っていただいていいかもしれません。記念日や、大切な日にお越しくださるケースが多いですね。“中央”のほうに行けば、そういうお店はいくつもあると思うのですけども、地元でもそういうお店を、と思ってくださるのは大変ありがたいことです。当店はお箸でも召し上がっていただける西洋料理のお店です。本格的なフレンチやイタリアンの入り口と申しましょうか、気軽に楽しんでいただけるお店でありたいと考えております。

美味しいだけではなく、いつまでも元気でいていただくために

 お客様からはよくお魚料理や子羊の料理をお褒めいただきます。あまり意識したことはなかったのですけども、お魚については、自分でも得意と思っているのかもしれませんね(笑)。羊については、独特の匂いを適度に消してあげて、召し上がりやすいものになっています。かといって子羊の風味が何も感じられないわけではなく、後味や香りに子羊が残るように按配しています。ディナー等でお出しするスープは是非召し上がっていただきたいですね。スープは少しとろみのある、お野菜のピューレを召し上がっていただいているような感じに仕上げています。昨今、お野菜を食べることが少なくなっていると聞きますし、少しでもお野菜を摂っていただけるように思ってのことです。そもそもフランスの考え方では、スープは「飲む」ではなく、「食べる」という言い方をしますし、あながち外れているということもないでしょう。お野菜が“かたまり”で出ますと、どうしても残される方がいらっしゃるのですが、スープになるとよほど苦手な方でない限り、しっかりと召し上がっていただけます。

日頃の感謝の想いを込めて

 16名様ほど入れるパーティールームもございます。磯子のプリンスホテルさんがなくなった時に、「ここを使いたい」というご要望を大変多くいただきました。企業さんや地域の方々の集まりなどでよくご利用いただいています。また当店ではテイクアウトをお重のイメージで提供しています。私ごとになりますが、暮れには毎年おせち料理を作っているのです。そのイメージのまま、お店に来れない方がご自宅でお酒などと一緒に摘んでいただけるようなイメージです。今年も一年間ありがとうございました。そうした感謝の意味を込めて始めたものになります。

地域のみなさんへメッセージ

 単純なのですが、お客様に「ごちそうさま」「美味しかったわ」と仰っていただけるだけで私は十分なのです。それだけで報われた気になりますし、感謝の言葉をいただくだけで元気になります(笑)。お店と共に、そしてみなさんと共に、いい歳をとっていきたいと考えております。長く長く愛されるお店でありたいですね。

 

※上記記事は2024年2月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

パレ・ド・バルブ 宮内 重明 オーナー

パレ・ド・バルブ宮内 重明 オーナー SHIGEAKI MIYAUCHI

パレ・ド・バルブ 宮内 重明 オーナー SHIGEAKI MIYAUCHI

  • 出身地: 神奈川県
  • 趣味: ギター
  • 好きな映画: 『荒野の七人』『小さな恋のメロディー』
  • 好きな観光地: 台湾、知床、高知
  • 座右の銘: 「郷に入っては郷に従え」
  • 好きな音楽: オールジャンル/エリック・クラプトン

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